沿革
常源寺は、御本尊に釈迦牟尼仏をお祀りする曹洞宗の寺院です。
常源寺は、今から約400年前の江戸時代前期にあたる元和5(1619)年、さいたま市岩槻区日の出町にある龍門寺の5代目住職である徳外文尭和尚によって開山されたと伝えられています。その後、村民の山崎源左衛門という人物が堂宇を再建し、中興開基となりました。
常源寺には、さいたま市の文化財に指定されている一石五輪塔があり、その造立年代が室町時代中期にあたる明応3(1494)年であること、発掘調査で室町時代のものと考えられる遺構が境内で発見されていることから、室町時代には現在の場所に地域の信仰対象となる何らかの建造物があったのではないかと考えられています。
現在の本堂は、平成2(1990)年に建立されたものです。
令和元(2019)年の開山400年を機に、墓地の拡張・移設、永代供養墓の新設等の境内の整備が行われ、平成26(2014)年には山門が再建されました。
一石五輪塔
境内にある「一石五輪塔」がさいたま市の有形文化財に指定されています。(昭和53年3月29日指定)
この一石五輪塔は、緑泥片岩製で、総高37.5cm、幅12cm、下部に台石に固定するための突起があります。空・風・火・水・地の各輪に「キャ」「カ」「ラ」「バ」「ア」(大日如来の真言)が梵字で刻まれ、地輪の「ア」の右側に「良秀逆修」、左側に「明応三七月日」との銘が刻まれています。室町時代の明応3(1494)年に良秀という人物が死後の安穏を祈って造立したものであると考えられています。
五輪塔は、各部材を積み上げて造立する場合が多いですが、一石五輪塔は全体を一つの石材から造り出しています。
さいたま市内に伝わる一石五輪塔では最古のものであり、室町時代の石塔文化に関する貴重な史料です。
※一石五輪塔は、常時公開しておりません。
拝観を御希望される方は、必ず事前に御連絡ください。
本堂
檀信徒の増加に伴い、平成2(1990)年に旧本堂の前面に建立されました。本堂正面には仁王像が安置されています。
山門
本堂建立に伴い一時撤去されていましたが、開山400年記念事業の一環として、平成26(2014)年に再建されました。
開山堂
昭和45(1970)年に本堂として建立されました。現在の本堂完成後は開山堂となり、歴代の御住職をお祀りしています。
瑞雲閣
旧本堂の一部を御法要の控室として使用しています。御法事の後の会食の他、会議や葬儀会場として利用することもできます。
交通安全地蔵菩薩
世の交通事故絶無を祈願して、平成17(2005)年に建立されました。毎年2月には交通安全祈願が行われています。
本堂扁額
本堂正面に掲げられた扁額は、江戸時代中期の化政文化期に書家・儒学者として活躍した亀田鵬斎の書です。